■個人の尊厳を傷つけかねない
♦個人にはそれぞれ自我境界(エゴバウンダリー)、またパーソナルスペースが存在します。
♦自我境界(ego boundaryエゴバウンダリー)🖊とは、心理的な他者との境界を指し、パーソナルスペースは、物理的(空間的)な他者との境界を指す概念です。
♦どちらについても他者の侵入を受けすぎないことが、個人の尊厳と人格を守り、精神的な成熟と自立を促すこと、また意思や感情の自由、そして安心感と安全感を確保する上で重要になります。
♦個人の境界領域を日常的に侵す可能性が最も高い他者は親であり、親の境界侵入が子どもに与える影響は重大で、予測しきれずまた計り知れないものでもあります。
♦我が子の成長や成熟に合わせ、個としての子どもの意思や感情を尊重し、親の方から適切な距離を取ることが、子どもの自尊心や自立を育む上で必要になります。
♦子どもは親を拒絶することが難しく距離の取り方もよくわからないため、境界侵入されていることにいつまでも気づかない可能性があります。
♦親がモデルとなり、他者との距離の取り方を子どもに教える必要があるのですが、親御さん自身にご自分が子どもの境界を侵してしまっている認識が全くない場合も少なくありません。その場合、親御さんもまた、ご自分の親から境界侵入を受けてきた可能性があります。
♦過保護や過干渉傾向🖊であれば境界侵入の可能性があります。身に覚えがある場合はその傾向を改めていただけると良いと思います。
♦日常的に起きることとして「子どもの部屋に無断で入る」「持ち物や携帯電話、引き出しの中や日記をチェックする」ことなどがあるでしょう。
♦「部活や進路、交友関係や恋愛関係、さらには職業や会社の選択にまで口をはさむ」といったことも起きがちです。
♦こうあるべきと親の価値観を押し付けておきながら「あなたのためを思って言っている」と子どもを黙らせ、従わざるを得ないようにしている場合もあります。
♦さらに、職場の人間関係や関係のよくない身内、子どもの父親に対する愚痴や悪口を聞かせ、相談相手として子どもを頼ってしまうといったことが親子の役割の逆転を生じさせ、子どもが子どもらしくいられる環境を奪ってしまっているとするなら、子どもの境界を侵していると捉えることができます。
♦深刻なのは、子どものありのままの気持ちや感情を決めつけたり否定したりして、親の気分や都合に合うようコントロールしてしまうことです。
♦境界侵入を侵し親子が密着していることから親子のコミュニケーションや絆が強いかと言えば、実はむしろその逆で、こうした環境で育った方の中には、他者とのコミュニケーションが苦手、関係性が築けない、関係性の深め方がわからないと悩んでおられる方がいらっしゃいます。
♦一方で、親御さんの方は、家庭のコミュニケーションや関係性は問題ないと思い込んでいる場合もあります。ご自分の気分や都合を優先させることが当たり前になっていると、子どもの問題に気づきにくい場合があります。
♦境界侵入しがちな親御さんの特性として「ささいなことで不安になりやすく、子どもをコントロールすることで自分の不安を解消しようとする」「子どもを自分の延長であるかのように同一視している」「自分の人生の満たされなさを子どものせいにする」「子どもによって優越感や幸福感を満たそうとする」といった心理的背景が考えられます。
♦いずれについても、親御さんご自身が未解決の問題を抱えたままであり、精神的未熟さが根底にあることが要因として考えられます。
♦境界侵入を受け続けた方がその後に帯びる傾向として「他者との距離を詰めすぎたりあけ過ぎたり極端である」「人がどう思うか気にしすぎる」「相手の期待に過剰に合わせがち」「自分の感情や考えがわからない」「依存しやすい」といったことがあります。
♦一方で、ご自分も親密な相手に「境界侵入しやすい」「拒絶されることや嫌われることに敏感で不安が強い」「関係性の深め方がわからない」といった傾向も帯びてしまいがちです。
♦その結果、アイデンティティの確立がうまくいかず🖊、拡散したり混乱したり🖊、また将来的には不安障害、うつ病、適応障害、複雑性PTSD🖊、また境界性パーソナリティ障害🖊や依存性パーソナリティ障害🖊等になってしまう可能性があります。
ご自身、また親御さんに心当たりがありましたら、お話に来ていただけるとよいかと思います。
それぞれがご自身の境界領域を守り、また侵さず、適切な距離をとっていかれることで、それぞれがご自分を守り、ご自分を抱え、精神的自立へ向かわれるようお力になりたいと思います。
今後の世代間連鎖🖊を断ち切る上でも今がご相談のタイミングではないかと思います。
