カウンセリングは「カウンセラー(心理の専門家)との対話と関係性を通じて悩みや問題に向き合い、また自己についての理解を深め、自力で解決や対処ができるよう人格の変容を促す援助行為」です。単回で終わりがちな身の上相談や恋愛相談とは全く違うものになります。困ったときだけ利用するというものではなく、問題があってもなくても定期的に継続して受けていただき、心の安定の常態化をめざしていきます。
一方で、カウンセリングを利用される方の動機や理由はそれぞれですし、必ずしも人格の変容を目指して来られる方ばかりではないと思います。また、さまざまなカウンセリングがあり、その専門とする心理療法や基盤とする理論によって進め方や内容、手法は違ってきますので、受けてみたものの思っていたのと違ったな…という感想を持たれる場合も少なくないと思います。
私共のカウンセリングルームは、これまで気づくことのなかった深層心理(無意識)に焦点を当てていく精神分析的アプローチを軸としています。現在の問題や悩み、生きづらさや心のクセといったその方独自の苦しさの背景や理由を知る上で、これまで気づけなかった無意識に触れていくことが必要になります。対話を重ね「ああそうか、そういうことで自分は今のような状態になっているのか…」といったご自身のこれまでのストーリーがわかってくると、ご自分を意識的に変えることができ無意識にも変わっていきます。ご自分が変われば周りも変わるでしょう。やがて、自力での問題対処や解決が可能になっていきます。
来談された方の中には「カウンセラーにアドバイスをもらえる、どうするべきか正解を教えてもらえる」といったことを期待してこられる方がいらっしゃいますが、それは違います。苦しさから逃れたい、癒され楽になりたいといったことが目的であるなら、思いのたけを一通り話され、すっきりしました、来てよかったと感じていただけるのですが、一度のみのご来談で終わってしまうことがあります。新たな依存先を求めて来られるなら、失望で終わってしまうでしょう。
忍耐強くカウンセリングを続けられ終結を迎えると「もうだいじょうぶです、ひとりでどうにかやっていけそうです」といった自信がつきます。おそらく以前とは違った人格に変化されていることでしょう。人格が変われば物事の捉え方や行動傾向が変わります。捉え方や行動傾向が変われば気分、さらには体調にも変化が生じます。再び同じような出来事や状況に遭遇した場合であっても、精神科や心療内科を受診して服薬を再開したりカウンセリングを利用したりすることなく、自力で対処ができ感情のコントロールも可能になるということです。それがカウンセリングの治療的効果であり、継続していかれる意味と言えます。そうした終結を迎えていただき、これまでの苦悩を手放していただきたいと思います。
カウンセリングに来たのは、心療内科あるいは精神科を受診することや薬をのむことに抵抗があるからです、とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。医療機関では、薬物療法が中心になりますので、医者は患者の話をあまり聴きません。話をじっくり聴かなくても適切な処方をすれば、大抵の患者は症状が軽減していくというのが、薬物療法を中心にした医療機関の基本的な考え方です。適切に服薬すれば症状や気分は確実に安定しますので、症状や気分の不調が長く続いている方は無理をされず受診をしていただきたいと思います。
カウンセリングは薬のように即効性は期待できません。一度や数回のみのカウンセリング効果は一時的なものであることが多く、根本的な解決には至っていない場合があります。ご自分で納得ができる終結を迎えられると、薬をやめたときのように離脱症状に悩まされたりその効果が失われたりすることはまずありません。悩みや問題、症状が軽減されるだけでなく、ご自分の変化や人間としての成熟、さらには自由や幸福をも感じていただくことができるでしょう。
終結に至るには、それなりの時間を要します。苦しい局面が幾度となく訪れ、やめたくなることもあるでしょう。中断される方も少なくありません。ぜひ共に乗り切り終結を迎えていただきたいと思います。カウンセリングの効果は、その方の忍耐とモチベーションの程度によります。「自分を変えたい、良くなりたい」といった強い動機付けがあれば継続を支える力になりますし、より良く変えていくことが可能です。自己や他者についての理解のみならず、社会や世の中についての理解も深まり、カウンセリングの効果をより感じていただけるのではないかと思います。
また「カウンセリングを続けていれば良くなるのだろう、カウンセラーが良くしてくれるのだろう」といった認識は違います。「カウンセラーはいつも自分の味方、親友、恋人、あるいは理想的な親のように自分をいたわり癒し心地よく接してくれる」といった期待は落胆につながります。そうした満足や気分は一過性のもので、根本的な解決にはつながりません。カウンセリングが身の上相談や恋愛相談と異なるのは、吐き出すだけでは終わらない、ご自分の今後の生き方、人生のあり方をご自身で問うところにあると考えます。
ときどき利用するということでは、そのときだけの安心感や問題の解消にとどまります。定期的に利用していただき、癒され楽になったといったことにとどまらず、問題対処能力、ストレス耐性、そして自己肯定感等を高めていただき、ご自身の心の安定の常態化を目指していただけると良いと思います。
カウンセリングでは、常にご自分が「どうしたいか、どうなりたいか、どう感じているか、どう考えるか…」に焦点を当てていくことになります。それが他人に左右されない自分らしさや自分の人生を生きることにつながります。一方で、ご自分と向き合う勇気と苦しさを乗り切るエネルギーが必要になります。
私共が指示やアドバイスをあまりしないよう努めているのは、ご自分で気づき、わかりながら変えていくことが、より効果的で意味があるからです。人それぞれにご自分をよりよく変えていく力があります。だれよりも自分が自分を知っているはずですし理解できるはずだと考えるからです。私共のカウンセリングルームはそうした人間観を前提にしています。動機付けやモチベーションがあれば、なりたい自分になっていかれるのではないかと思います。
カウンセリングは、貴重な時間と金銭、心身のエネルギーを費やすプロセスでもあります。さまざまなカウンセリングルームのHPを見られ、口コミに左右されることなく、ご自分の目的に合った意味と効果が感じられるカウンセリングを選択していただきたいと思います。
※もともと気分が不安定な方、抑うつ的な方、また自我が弱い方などは、精神的にきつくなったり体調が悪くなったりする場合があります。その際は、休息のための中断をしていただくことや精神科/心療内科の受診をおすすめする場合もあります。受診中の方は医師の承諾を得ていただく必要がありますし、精神症状が重い方についてはお断りすることもあります。ご理解いただきますようお願いいたします。
お力になれますよう心を尽くします。
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