不登校や引きこもりになる理由や背景には個別性があり、発達の段階によっても異なると考えられますが、大まかには以下の可能性が疑われます。

発達障害傾向といった発達の偏り

発達障害傾向があると、集団での活動にやりづらさがあります。例えば、協調性やコミュニケーションに問題があれば人とうまく関われない、友人関係を築きにくい、孤立しがち、また衝動性があれば周囲とトラブルになりがち、集中力に問題があれば落ち着いて取り組めず、不注意であればミスが多い、能力にむらがあれば遅れがちになる、といったことが考えられます。

そうした特性は、学校や社会、そもそも家庭において叱責の対象にもなります。叱責される体験が積み重なれば心が傷つくことになり、精神的に消耗し、意欲も低下してしまいます。なにより、自分はダメなんだ、できないんだという思いを強め、自尊心も自己肯定感も持つことができなくなるのです。結果、不登校や引きこもりになってしまいます。

お子さんの発達について少しでも不安があれば、小学校に上がるまでに自治体の子育て相談や教育相談等に出向いていただきたいと思います。発達検査等により特性があるとわかれば、療育施設等につないでいただくことができます。親御さんがお子さんの発達特性を理解し、適切な教育や関わり方などの支援を受けられ、お子さんの自尊心や自己肯定感が下がらないよう努めていただけると、その後のお子さんの小中高さらには社会での適応につながっていきます。支援を受けられるのは早ければ早いほどよいと思います。

不登校や引きこもりのお子さんはもちろん、不登校や引きこもりではないものの能力面や活動面、対人場面等に不安や問題を抱えている小学生以上のお子さんについても、もちろん発達検査を受けていただきたいと思います。
社会人であっても発達検査を受けることには意味があります。ご自分の特性を知れば自己理解につながりますし、職業選択に役立てることもできるからです。

家庭環境や愛着の問題

例えば、両親が不仲で喧嘩が絶えない教育方針や子どもの関わり方が異なる親がアルコール等の依存症や精神疾患がある、また養育能力がなくネグレクト傾向が疑われる等により家庭環境や親子の愛着形成に問題がある場合、他者や外的環境に対する不安が強い母子分離が難しいストレス耐性が低いゲームやネット等の依存症になっている、あるいは発達障害に類似の傾向を帯びてしまうといったことにより、学校や社会生活に適応しづらくなってしまいます。上記のような状況では、親御さん自身に相談や援助を求めるニーズや認識する力が不足していることも少なくないため、相談にはあまり来られません。したがって、学校や自治体の専門家が家庭に出向いて根気よく関わり、ご本人の問題のみならず家庭が抱える問題についても分析し、適切な支援につなげていく必要があります

不登校や引きこもり状態から脱するのは容易ではありません。親御さんや家族は、適度な距離感を保ちつつ、ご本人に関心を向け続けることが必要です。あなたを心配している理解したい力になりたいという態度が、かたくなになっている心をこじ開ける鍵となります。「学校へ行け」「働きに出ろ」と言い続けることは逆効果と考えていただいてよいと思います。

もはや自分を否定し、親や周囲の言動も否定的に捉えがちになっているご本人たちには、それが決して自分を思っての発言ではなく、親や大人たちのプライドや体裁、世間体を保つためのものだと思われ、態度がさらにかたくなになってしまう可能性があるからです。

親や大人、あるいは教師だからといって、何でもわかる、正解を知っている、またいつでも正しい、というわけではないと思います。教えてやる言うことをきけといった上から目線ではなく「どうしたらいいだろう」と向き合い一緒に考える逆に教えてもらう、といったご本人の個性や考え方感じ方を尊重する声かけや関わり方が求められているのではないかと思います。

さらに、親御さんご自身が抱えておられる親御さん(子どもにとっての祖父母)との愛着問題があれば、それは連鎖する可能性があります。お子さんのご相談と同時に、ご自身のことについても向き合っていかれ、整理し解消をめざしていただけると、お子さんの理解や不登校引きこもりの解決の糸口につながるのではないかと考えます。

トラウマ(心的外傷)となりうる出来事

周囲が些細なことだと捉えていても、ご本人にとっては大変な傷つき体験になっている場合があります。もしかするとそれはきっかけに過ぎず、もともと抱えていたトラウマを刺激した可能性もあります。そのトラウマの正体を知り解消していくことが必要になります。

決して怠けているとかやる気がないといったことではなく、ご本人が学校へ行かない、仕事をしないで引きこもるその人なりの理由や背景があり、おそらく何らかの傷つき体験があるのではないかと考えます。それをわかってあげたいというご家族の気持ちや態度が大切です。親だけにはわかってほしいという気持ちがあるからです。ところが親御さんが真っ先に否定する場合もあります。不登校や引きこもり状態の子どもをご自身が受けいれられないからでしょう

正しいこと、当たり前のことを言うべき、やるべき、といったことではなく、子どもに何が起きているのか、その現実に向き合っていただけるとよいと思います。

わかってあげたいという気持ちや態度がご本人に伝われば、不登校や引きもこりは、ご本人やご家族にとって「意味のある撤退」となります。ご家庭において、ご本人がこれまでにない安心感、安全感、信頼感、さらには愛されているということに実感が持てれば、家にいる理由はなくなります。決して家に居たくているわけではないからです。やがて主体的に動き出し学校や社会へ出ていかれたり、医療機関や相談機関へ出向いていかれたりなどして、人生の再スタートをきっていかれるのではないかと思います。

一番苦しくてつらいのは、ご本人なのだということを忘れないでいただきたいと思います。

精神疾患やパーソナリティ障害を発症している

さらに、うつ病統合失調症といった精神疾患を発症している場合はもちろん、パーソナリティが特定の病的な性質を帯びてしまうパーソナリティ障害傾向が強い場合についても、学業や仕事に取り組むことが難しくなってしまいます。お子さんの様子がおかしいと思われた際は、早めに心療内科や精神科を受診していただくことをおすすめいたします。

不登校/引きこもり傾向の連鎖

お子さんのご相談に来られている親御さんのお話は、当然お子さんのことに終始するわけです。ご相談当初は、そういう状況になっているお子さんについて理解ができない子どもの頃の自分は全然違った息子(娘)は夫に似ているから…また妻に似ているから…と話され、問題を抱えたお子さんに対しやや距離が感じられるお話の仕方をされる方がいらっしゃいます。ところが、そういう方のお話を長くうかがっていますと、ご自身の子どもの頃のお話になり、ご自身も多少の問題を抱えておられたことが次第に明らかになってくる場合があります。我が子の態度や行動を受け入れられないのと同様、子どもの頃のご自身のことも受け入れられないため、すっかり忘れてしまっていたのかもしれません。「お母さん(お父さん)にも似たところがあり同じような体験があったのですね」とお伝えすると、そうですね…としみじみと、そして少し申し訳なさそうにつぶやかれます。

そうして親御さんがご自身のことを改めて受けいれられると、お子さんについての理解も深まり、お子さんの苦しさに一層心を寄せられるようになります。そうなれば、親子で一緒に乗り越えていこうという気持ちが強まり、苦しくはあっても親にとっても子どもにとっても意味のある体験になっていくのではないかと思います。

カウンセリングでお子さんのご相談をされると共に、ご自身のことも改めて振り返っていただく機会にしていただけると、これまで気づけなかったことに気づいていかれ、お子さんの変化、さらにご自身の変化につながっていくのではないかと考えます。不登校引きこもり傾向を後の世代に引き継がないよう(世代間連鎖)、今向き合っていただけると良いかと思います。


18歳未満のお子さんをお持ちの親御さん、また18以上の不登校や引きこもりで悩んでおられるご本人のご相談をお待ちしております。
(※18歳未満のご本人のご相談はお受けしておりません。自治体のご相談窓口や医療機関等をご利用いただきますようお願いいたします。)