子どもを愛せない親がいるのか。
愛せないというより、愛する余裕がない親御さんはいらっしゃるように思います。ご自身がお子さんから承認され愛されることの方を無意識的、無自覚的に求めてしまう方が実際にいらっしゃるように思います。本当は愛しているのですが、愛するより愛されることの方を優先してしまうということではないかと思います。
自分の子供を愛する余裕がない方の事情や背景はさまざまにあると思いますが、そうした方のお話をうかがっていると、そのクライエントさんご自身は親に愛されたか?大切にされたか?関心を持たれ理解されたか?さらに理不尽な怒りや苛立ちを心に投げ込まれたり、気分次第の関わり方をされたりしたのではないか、といった疑問を持たずにはいられなくなります。ご自身もまたその親御さんも、たいてい厳しく、ルールや規則を重んじ、失敗や短所を指摘し、時には暴言を吐き手を出してしまう、夫婦は仲が悪い、家族の会話は少ない、という話も多く耳にいたします。
自分は大切にされなかった、愛されなかった、関心も持たれず理解されなかった、といった体験や記憶が心のどこかにあると、ご自分のお子さんに対しても、親と同様の関わり方を無意識的、無自覚的に繰り返してしまう場合があるように思います。親との良い体験や記憶の方がより多くまたより強ければ、無意識的無自覚的に子どもに対してもその良い体験につながる愛情深い関わり方ができるからです。
気分次第で怒りや苛立ちを心に投げ込まれたりして親御さんに対する恨みや憎しみが強い場合は、お子さんに対しさらに過酷な関わり方になる可能性もあります。子どもに愛情をあまり感じられないばかりか、親に対する否定的な感情も入り混じり、自分が不幸なのは子どものせいといった見当違いの捉え方をしてしまう場合もあります。他人に対しても怒りや苛立ちを感じやすいかもしれません。
大人になってから医療機関を受診され、ADHDやASDといった発達障害の診断を受けられる方がたまにいらっしゃいますが、対面でお話をうかがうと、本当に発達障害なのかな?むしろ愛着の問題ではないかと疑いたくなる方がおられます。
その方が困っているのは、ご自分の感情がよくわからない、何が好きか言えないといったことであり、その方が求めていることは、他者から関心を持たれることや情緒的で親密な交流をすることであったりします。一方で、親密になることが怖いという気持ちもあります。
このような方の多くは、小さい頃からあまり感情に触れてもらえなかった、関心を向けてもらえなかった、親密な関わりが少なかった方ではないかと思われます。一方で、親の思いを一方的に押し付けがちな過干渉や過保護の場合もあるように思います。
確かに発達障害の特性と重なっているように思われますが、その方から伝わってくるのは、「さみしい」「だれかとつながりたい」「愛されたい」といった切実な心の訴えであり、発達障害傾向が強い方の訴えとは異なります。
対人関係において、コミュニケーションや感情表出が不自然でぎこちなかったり関係性が希薄だったりする方が発達障害といったことではないとするなら、その原点である家庭生活での対話や関わりの希薄さを疑うことになり、親に愛されたか、大切にされたかを疑うことにもなります。
仮に子どもに愛情を感じられないとしたなら、それはあなたご自身が親の愛情を感じられなかったからではないですか。もしかしたら、あなたの親御さんもまた同様かもしれませんが、それは親御さんご自身の問題であって、あなたが代わりに向き合う必要はありません。あなたご自身の問題に向き合うだけでよいと思います。
あなたが幼かったころ、家庭や親子関係でどのようなことが起きていたのかについて、改めて振り返る必要があるのではないかと思います。
あなたの心の奥底に愛されることを求めて泣いている幼いあなた(インナーチャイルド)が、今なお存在し続けているのではないですか。そうであるなら、子どもを愛することより、そのインナーチャイルドの欲求を満たすことを優先してしまうかもしれません。それほど愛情の渇望が強い、だから身近なお子さんにそれを求めてしまうのでしょう。
つまり、親ではあっても子どもから承認され愛されることを求めがちになるのです。子どもを愛する余裕などないかもしれません。そうした無意識的、無自覚的な心の作用が、ご自身の子どもを将来的にアダルトチルドレンにする可能性や、インナーチャイルドといった未成熟な心の側面を大人になってもなお抱えてしまう可能性を高めてしまいます
親はもう期待できません。あなたご自身があなたのインナーチャイルドの親となり、その子を癒し心の成熟を促すことができれば、お子さんの親御さんとしてさらに成長され、お子さんに対するお気持ちや愛情が肯定的なものへと変化していかれるのではないかと考えます。
こうした現象は、世代間で連鎖しがちです。理不尽に親から投げ込まれた怒りや苛立ちは、憎しみや恨みとなって増幅する可能性をはらんでいます。今こそ、その連鎖を断ち切る時かもしれません。お子さんやお孫さんに「自分は愛されていない(愛されていなかった)…」といったモヤモヤした思いを残さないようにしていただきたいと思います。
親御さん、お子さん(18歳以上)どちらの方であってもお心当たりがございましたら、どうぞお話をしにいらしてください。お待ち申し上げております。
