「感情のコントロールが難しい」と感じている方が、割といらっしゃるのではないかと思います。あふれてくる感情を抑制しきない自分を責めたり恥ずかしいと思われたりして、否定的に感じておられるかもしれません。そうした自分の傾向を厄介とか面倒だと思われると、感情を抑圧したり思考で自分を納得させようとしたり、また寂しい、悲しいといった体験そのものを無かったことにしようとしたりします。

感情を抑圧することも、思考で納得させることも、さらには体験を無かったことにすることも、どれも健全な対処とは言えません。

抑圧が続けばいずれ感情が吹き出すことになり、思考ばかりを優先すれば感情が鈍感になってしまう、また無かったことにすれば解離といった病的な症状を抱えてしまう場合があるからです。

その都度、ご自分がどのような感情にさらされているのか、その感情を見つめ、受けとめ、十分に感じることは、むしろ心の健康のためには必要なことであり、そうすることで自分の感情と距離をとることができ、感情のコントロールが可能になっていきます

そもそも、感情のコントロールは自然に身につくものではなく、養育者(特に母親)とのやりとりにその起源があります。赤ん坊のころの感情は未分化なうえ言葉による表現ができないので、とりあえず泣けば「お腹が空いているのね」「おむつが濡れているのね」と養育者が察してくれる、またよちよち歩いて転んでしまえば、「痛かったわね」と養育者が駆け寄り抱きかかえてくれるといった具合で、たちまち満たされたり気持ちよくなったり、痛くなくなったりするわけです。養育者が向き合ってくれることにより自分の混乱の正体がわかり、それなりに納得ができ、安心や安全感が得られるわけです。

そうした養育者との情緒的なやり取りの中で、ネガティブな感情を排出しポジティブな感情を取り込むことを繰り返しながら混沌とした子どもの感情の分化は進み、やがて言葉による伝達ができるようになり、周囲にわかってもらえれば精神的成熟や気分・感情の安定につながります。
感情をコントロールできるようになるにはこうしたやり取りが重要なのですが、何らかの事情で十分ではなかった場合、精神的な未熟さが残り、気分や感情が不安定で混乱しがちになってしまいます。また、子どもが「痛い」と言いたいときに親が「痛くない」と否定したり、泣きたい気持ちのときに「泣くな」と言って泣くことを拒絶したりすれば、子ども自身も自分の感情を否定したり偽ったりすることなるので、それも感情的な混乱をまねき、感情のコントロールのみならず精神面の発達や成熟にネガティブな影響を及ぼすことになります。

成長して自分で好きなものを口にすると「おいしい」と満足し、トイレにひとりで行くと「できた」と喜ぶ、転んでも「(痛いけど)平気だよ」と自分で自分を慰めることができようになり、やがて「悲しい」「悔しい」「怒っている」といったネガティブな感情であっても自分で抱えながらどうにか乗り切り、消化していくことができるようになっていきます。

このように、感情のコントロールは養育者との情緒的なやりとりが基盤にはなっていますが、それ以外にも生まれながらの特性や性質環境的また体験的要因も考えられ、感情のコントロールが苦手ということの理由や背景がそれぞれあるのではないかと考えます。その理由や背景について理解ができると、自分を否定的にとらえることなく受けいれていくことができるのではないかと思います。

その時々のご自分の感情に向き合い、ありのまま感じ、受けいれて行かれるよう、また感情の波にのみこまれることなくご自分で乗り切って行かれるよう、カウンセリングを通じてお手伝いをさせていただきます。

まずは、これまで心の奥深くに押し込んでこられた未消化な感情を少しずつ吐き出し、どのような感情を我慢してこられたか改めて感じていかれることが必要ではないかと思います。心の中の整理が進むとご自分についての理解が深まり、感情と距離をとることができるようになっていきます。それが可能になれば、ご自分のどのような感情も恐れることはなくなるでしょう。

加えて、学校や職場、人前など、すぐに感情を切り替えることが必要な場合は、マインドフルネスが有効ではないかと思います。マインドフルネスについては、カウンセリング内で随時お伝えしていきます。

お問合せ、お申込みお待ちしております。