ほんのささいなことであっても落ち込んでしまう、とおっしゃる方がいます。性質や特性もあると思われますが、お話を伺っていると、相手の機嫌や顔色をうかがいがちで自分がどう思われるかを過剰に気にしている方が多いと感じます。感情、思考、行動が、相手本位になりがちで、自分の思考や感情、また行動は二の次で、自分の体の不調にさえ気づきにくい方もおられます。自分の存在の意味や意義を、他人の評価や承認に頼っているところがあり、こうした傾向のある方は生きづらさを感じやすく、適応障害うつ病になる可能性も高いのではないかと考えます。

このような傾向は今に始まったことではなく、幼いころから心の癖として身に着いたものではないかと考えます。精神的に未熟な子どもは、自分の感情や思考、行動についての理解や判断を親にゆだねがちになります。たいていは親が言ったとおりのことを信じ、その通りにやろうとします。親や環境等の事情で親の関わりや言葉がけが少ない、あるいは親に聞けない場合には、親の機嫌や顔色をうかがいサインをキャッチすることで、どんな風に感じ考えたらいいか、どのような行動をとったらいいかについてヒントを得ようと努めます。そうしたことを繰り返すことで家庭生活や親に適応し、外の世界に出ていく準備が整っていくことになります。

中学高校あたりから友だちとの関係が親密になり、親から精神的に自立をしていく段階になると、自分の家と友だちの家の様子や親の関わり方、当たり前と思い込んでいたことが違っていることに気づいていきます。友だちづきあいの中で刺激や影響を受けながら、同時に親に反抗や反発をしつつ、自分の方向性や軸を築いていくことになります。そうした自分を親や友だちに受け入れられる体験の積み重ねが、自己肯定感、あるいはアイデンティティの確立にもつながっていくのではないかと考えます。こうした成長のプロセスを経ることができれば、仮に落ち込むことはあってもやがてリカバリーができ、また前を向くことができるようになると思います。

したがって、落ち込みやすい、というのは、いまだに親の軸(感情や思考、行動について~するべき)にこだわり、その窮屈な枠に自分を押し込めようとしがちで、その枠から外れてしまうことに不安や恐れを抱きやすい心の癖があるためと捉えられます。学校や職場といった世界へ出た後も、自分の軸がないことから独自の判断ができず、親の軸に合わせるように他人の軸に無意識的に合わせようとして、そこから外れてしまう不安や恐れから落ち込んでしまうのではないかと考えます。

落ち込みやすい方は、友だち関係が希薄であった、反抗期らしい反抗期がなかった、またおとなしくて自己主張が少なかった、親や周囲の言うことをよく守る方だったといった方が多いのではないかと思います。ご自身が落ち込みやすい傾向を持つことになったのは、家庭環境や親子関係、学校での体験や友達関係がかなり影響しているのではないかと考えます。

親の軸や他人軸から自分の軸へもどしていく必要があります。

カウンセリングの中でこれまでを振り返りながら、その時々のご自分の感情や思考に触れなおすことによりご自分への理解を深め、ご自分の軸を築きなおしていかれると良いのではないかと考えます。

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