パーソナリティは、基盤となる性格に加え、その後の家族とくに親の関わり方や関係性、家庭環境、さらに学校や社会における体験等により、固有の特徴的性質へと徐々に固定していくものと考えられます。
カウンセリングでお話をうかがっていると、どうしてそんな風に考えてしまうのか、感じられるのか、と不思議に思うことがあります。ご自分ではこれまでそのことに疑問を抱かれたことがなく、こちらがたずねることで「確かにそうですね、どうしてでしょう、親に特に言われたわけでもないし…」と気づかれ、改めて不思議に思われ、カウンセリングでそのことを意識されるようになります。
例えば、「顔にコンプレックスがある、醜いと思う…」「どうして自分はこんなにやれない、ダメな人間なんだろう…」といったことをかたくなに思い込んでいる人がいますが、前者はむしろ美人と言える人ですし、後者は怠けることができず何事も一生懸命頑張る人だったりします。
また、「私はだいじょうぶ、平気なんです」と誰にも助けを求めず、さまざまな問題をひとりで抱え込んでいる人がいます。本当はいつも心細く不安で仕方がないことがわかってきますが、そうしたご自分にとっての良くない側面はいっさい受け入れることができず、すっぱり切り離し否認し続けているのです。
カウンセリングを続けていると、顔にコンプレックスがある人は、母親や祖母が美人で、日常的に他人の「顔やスタイルがどうか…」といったことが話題にのぼりやすく、内面より外見をみがちな家族の傾向があることがわかってきます。
自分はダメだと思いがちな方は、ミスや失敗があると過剰にご自分を責める傾向があるのですが、そういえば子供のころ、同級生と問題が生じても「人のせいにするな、お前が~だからそうなったんだ」と親から怒られることがよくあり、寄り添ってくれるとか味方になってくれることはなかった、ということに気づかれます。
私はだいじょうぶと思い込んでこられた方については、母親に傷ついた体験や悩みを打ち明けても「お前はだいじょうぶ、平気だよ」とよく言われていたそうです。
また、親が望んでいたのは男児であったため、女として生まれてきたご自分を肯定できない方、知らず知らず親の理想の子供のなろうとしてきた方、親の価値観を押し付けられ支配されてきた方、親が過干渉また過保護なため自分は何もできない、取り柄がないと思われてきた方も、認知のゆがみや偽りのパーソナリティを形成することになります。
このように、人はだれしも本来のご自分の姿や性格とはかけ離れた認知のゆがみやパーソナリティを形成してしまう可能性があります。特に素直で純粋な子ども、感受性が強く敏感で不安になりがちな子どもは、親に言われたことをそのまま受け取ってしまいがちで、そうした傾向を抱えやすいのではないかと考えます。そのことによりご本人が生きづらさを抱えてこられたとしたら、彼らの親御さんは毒親と捉えられも仕方がありません。
家庭でつちかわれた思い込み(誤った信念)が、家庭外でのさまざまな体験で強化されることになれば、定着していくことになります。やがて、対人や仕事関係の問題やプライベートな出来事によるストレスから、ゆがんだ認知や偽りのパーソナリティのまま生活を続けることへの限界が訪れます。
成長過程での友人たちとの親密な関わりの中で、これまで自分の家で起きていたことや信じてきたことが当たり前ではない、正しいわけではないと気づけば修正していくことができますが、まじめでかたくなな面があったり対人関係が希薄であったりすれば、他者と比較することも疑うこともないまま認知の歪みや偽りのパーソナリティを抱え続けていくことになります。
家庭の中で繰り返される何気ないやりとりや、親が教育やしつけのつもりで繰り返した言葉がけが、場合によっては子どもの認知をゆがませることや偽りのパーソナリティを形成することにつながりかねないのです。
10代20代の若者であれば思考も柔軟ですので修正は難しくありません。年齢を重ねれば、思考、感情、行動が固定したものになりますので、変えるということはこれまでの長い人生を見直すことになりかねず、大ごとになってしまう可能性があります。
思い当ることがあれば相談にいらしてください。ゆがんだ認知や偽りのパーソナリティがあるとするなら、いつごろどのように定着したかについて振り返り、本来のご自分を少しずつ取り戻していかれるお手伝いをさせていただきます。
あなたが悪いわけではないのです。無理なくやっていきましょう。
お越しをお待ちしております。
