職場などで人間関係がうまくいかない、業務がこなせない、ハラスメントにあったといったことなど、何らかのストレスによって心身の不調に陥り職場に行けなくなった場合、心療内科や精神科を受診すると「適応障害」と診断を受けることがあります。この時はすでに抑うつ状態にありますが、ストレス因子がなくなったにもかかわらず症状が半年以上改善しない等、いくつかの基準を満たすと「うつ病」と診断を受けることになります。

職場における適応の対象は、人、業務、ルール、雰囲気、趣味や関心の傾向といったことなどさまざまにあり、いずれもストレス要因になりますが、そもそも適応は、母親との出会いに始まっているのではないかと考えます。無力な赤ん坊は、母親に依存し適応することで自分の命を守ることができます。一方、母親はわが子の命を守り、順調に成長していけるよう子どもの適応を助けます。わが子の様子や状態に気を配り、必要な欲求を察知し満たすことに努めます。

母親への適応がスムーズであれば、子ども母親共に安心感や信頼感が得られ、健全な愛着が形成されます。こうした母親への適応がやがて外の世界の人に対する安心感や信頼感、そして適応力につながります。また、父親、きょうだいに対する適応は、集団や社会に対する安心感や信頼感、そして適応力へとつながるのではないかと考えます。

一方で、子どもの適応がスムーズにはいかない状況(ストレス要因)があります。例えば母親の心身の不調、また夫婦関係の悪化家庭環境のめまぐるしい変化、あるいは子ども本人の障害等があれば適応は簡単ではなくなります。子どもは十分な世話と愛情を求めて泣き声をあげ周囲に知らせますが、上記のような状況(ストレス要因)で欲しいものが求めきれない場合には、その状況に適応せざるを得なくなります。その結果、些細なことで泣きやすくなる気難しくなる反応や症状が乏しくなるといった状態に陥ります。これらはいずれも健全な適応とは言えません。仮に母親から長期間引き離されたりすれば、世話や愛情をはく奪された状況になり、赤ん坊であっても抑うつ状態になります。適応障害あるいはうつ病の大人と同様の状態になるわけです。

適応障害は、過剰に適応しようと試みたが、その努力が実らず心が折れた状態ととらえられます。ハラスメントや過剰労働、業務外の指示等、本来なら適応する必要がない場合であっても、過剰に適応しようとする方がおられます。また、子どものころから適応のしづらさを抱えている方もおられます。そうした傾向の背景には、世話や愛情への無意識的な欲求があるのかもしれません。もしかしたら乳幼児期に体験した状況の再燃の可能性があるのではないかと考えます。

あなたには過剰に適応しようとする傾向がないですか?適応障害に陥りやすくないですか?それはあなたが不器用とか能力がないといった問題ではないと思います。個別の事情があるのではないですか?

ご自分の適応のしづらさの背景や理由についてわかっていかれると、それを踏まえて対処することが可能になります。また、無理をする必要はなくできる範囲でいい、自分はこれでいいんだと肯定的にとらえられるようになるのではないかと思います。

ご自分の理解の場としてカウンセリングを利用していただけると良いのではないかと思います。ご予約お問合せをお待ちしております。