対人不安や対人恐怖傾向を抱える要因は、生まれつきの特性や性質、環境や体験等、さまざまに考えられ、個別性があると思われます。
人に対する不安や恐怖が、いつ、どこから、どういうことで身についてしまったか、その人なりの背景や理由を理解していく必要があります。

対人不安や対人恐怖により、不登校や引きこもり休職に至る方が多くいらっしゃいます。学校でいじめにあった、職場でハラスメントにあったといった体験により、行こうと思っても朝起きられない、行きづらくなる、行きたくなくなる、といったことで不登校や引きこもり、休職に至る場合がよくあり、そうした体験がトラウマになってしまい、人の目がこわい、どう思われているか不安、また同じ目にあってしまうと考えがちで、外に出ることもなく人と関わることを避けるようになった…とご本人も周囲も考えてしまいがちかもしれません。

対人不安や対人恐怖は、人に対する過敏性と捉えられます。人に対する過敏性がどこから来たものか…。

これまで多くの方のご相談をお受けしてきて感じるのは、そもそも対人不安や対人恐怖につながる人に対する過敏性や人に関するトラウマは、外の世界に出る以前の家庭内ですでに生じていたのではないかということです。したがって、学校や職場でのネガティブな体験はその再燃にすぎず、忘れていた過去、あるいは現在進行形の家庭内における不安や恐怖を想起させる出来事であって、家庭内でのネガティブな体験を強化し、トラウマとしてより強く印象づけるに至り、不登校や引きこもり、休職へつながっているのではないかと考えます。

そうした状態の方が医療機関を受診すると、「適応障害」と診断されることがよくありますが、そもそも家庭の中においてすでに適応障害状態だったのではないか親の愛情を獲得するため、見捨てられないため、生き伸びていくために親の価値観や家庭内の雰囲気、ルールに対し過剰な適応を繰り返してきた結果、すでに精神が疲弊しエネルギーが枯渇している状態で、学校や職場でのいじめやハラスメントに対処し踏ん張る力をもともと十分に持ち合わせていなかった可能性があると考えます。

対人関係の起点、基盤は、母子関係と言えます。幼い子どもにとって、母親の愛情を獲得し、より良い関係を築くことは、自分の命を守ることに直結します〈子どもの妄想の中で)。また、父親やきょうだいとの関係は、社会に適応し生き延びていくことへの伏線と言えます。

仮に適応障害であれば、ストレス因子を取り除くため学校や職場の環境を変える、調整するといったことは必要になりますが、対人不安や対人恐怖の根本的な解決には至らず、その後も繰り返す可能性があると考えます。
人に対しなぜ不安や恐怖を感じるのか、ご自身の理由や背景について、わかっていかれることが肝要と考えます。その点が明確になり自己理解が深まれば、そのことを踏まえ、ご自分でご自分に適した環境を選択する、あるいはどのような環境であってもご自分なりに対処していくことが可能になるのではないかと思います。

また、カウンセリングも対人場面に相当します。カウンセラーと向き合い話をすることは、コミュニケーション体験でもあります。
カウンセリングでの積み重ねにより、人に対する不安や恐怖が緩和されれば、学校や職場へ行くことも苦痛ではなくなるでしょう。人と過ごすことや話すことについても抵抗がなくなり、ご自身の変化を感じていただけるのではないかと考えます。

勇気を出して、ぜひカウンセリングに来ていただきたいと思います。
お待ちしております。